アクアアスリートって何??

アクアアスリート&パーソナルスイムコーチ 平野 修也 Official Blog

第2の〝オリンピック〟 ワールドゲームズ 総括

こんばんは!
アクアアスリートの平野修也です。


7/20〜開幕したワールドゲームズ
僕が出場したライフセービング、フィンスイミングが終了し、
月曜日に帰国しました。

結果も含めて総括としての記事になります。
長くなってしまいますが、今大会を迎えるにあたり
僕の気持ちなどまとまりがないかもしれませんが書いてありますので、
最後まで読んでいただけると幸いです。



-ワールドゲームズ2017 総括-


まずはじめに、ワールドゲームズ出場するにあたり応援・支援してくださった皆様に多大なる感謝をいたします。
皆様が支えてくれたことが僕の力となり、チームの力となり、最高の結果を出すことができました!


ワールドゲームズとは
オリンピック採用競技・種目以外の非オリンピック競技・種目のオリンピックとしての位置付けとして開催されている四年に一度の国際総合競技大会。


アクアアスリートとして
水泳、ライフセービング、フィンスイミングと3つの競技を並行して行っていますが、
水泳以外の2つは非オリンピック競技であり、ワールドゲームズ競技。

僕自身、水泳でのオリンピック出場は極めて不可能に近いですが、このワールドゲームズへの出場はオリンピックと同じだけの価値があると思っています。


そのワールドゲームズ
ライフセービングとフィンスイミングの2つの競技で日本代表としての出場は世界初!?(今大会では若い選手で2人W代表の選手がいました)日本においては間違いなく史上初のこと。

マイナースポーツと言われる競技を発展させる1つの方法としては、結果を出すことが重要になってきます。
1つの競技だけでなく、2つの競技で世界トップクラスの力をつけることで少しでも日本の競技力向上に繋がればという想い。常識を超えないと大きな発展は望めないと考えてますし、常識を超えた先にヒントがあると思います。



2015年3月末

約7年勤めた東京消防庁を退職し、競技に専念する道を選択しました。
今しかできないこと。僕にしかできないことをやらなければ後悔する人生を送るだろう…
と決断。


それから2年。
2つの競技で世界トップクラスしか出場できないワールドゲームズへの出場権を獲得し、今大会を迎えました。


僕自身、今回に向けて
ライフセービング 4×50m障害物リレーでの世界新記録で優勝を最大の目標とし、この種目に全てを賭けてトレーニングを積んできました。


冬場の鍛錬期ではHOKUMAのサポートで
身体の使い方から全ての陸上トレーニングを変え、泳ぎも変え、疲労困ぱいの状態でマスターズ水泳の大会でも結果は出ずに、正直焦っていましたし、不安も大きかったです。


5月のライフセービング、フィンスイミングの日本選手権では調整をすることなく、
ワールドゲームズの為に結果が出ない試合を重ねることは本当にキツかったし辛かった…



6月

少しずつ身体と泳ぎが噛み合ってきて、ワールドゲームズまで1ヶ月を切る頃からは完全調整期に入りました。
ケアも週一回ペースで疲労抜き、可動域を広げるなど、疲労と可動域に関しては凄く気を使って過ごした。



7月

東京都実業団では思っていたよりも記録が出なかったこともありますが、焦っても仕方ないし強度の高い練習をやっても疲労が溜まるだけでしたので感覚やタイミング、スタートから浮き上がりなどのテクニック面のスプリントに特化した練習で仕上げ、最後の1週間ほど前に凄く調子は上がってきました。


世界を獲る為に
やれることはやってきたし、
レースが本当に楽しみな気持ちになったのは昨年の世界選手権以来。


消防を辞めてまで競技を選択した以上、結果を求めてから2年。
世界の頂へ登れるチャンスが目の前に。しかも世界新記録を狙えるチャンスとともに。




7/20 開会式

たまたま旗手になることに。
日本選手団の先頭で開会式の会場に入場した瞬間、凄い歓声とともに鳥肌が立った。
こんなに凄いのかと…
多くの人がハイタッチをしてくれて、出場する全ての国、選手を讃えてくれるような歓声に感動しました!




7/21 Day1

初日は勝負の4×50m障害物リレー
リレーの予選前には個人の200m障害物スイムがありました。
少しでもリレーの決勝へ体力を温存したかったので、8割で泳ぎましたがベストを1秒更新する泳ぎで予選10位。決勝まではあと1秒ほどでした。
その後30分ほどで障害物リレー予選。
少ないレストでしたが、決勝をイメージして泳いだところ24.16。こちらも0.03ベスト。
凄く調子は良い。


ライフセービング予選後、夕方からはフィンスイミングのタイム決勝。初日は100mビーフィン。オープニングセレモニーを終えて20分後にバタバタしつつ、無意識でセーブしていたのか記録は全然良くありませんでした。


夜はライフセービング決勝。
こちらもオープニングセレモニーからスタートし、1時間には人生を賭けたレースの結果が出ていた。


招集所では次第に緊張が増し、
心臓の鼓動も大きくなってきた。

いままでやってきたことを思い出し、
たくさんの人に迷惑をかけてきたりしたことも思い出したり。
全てはこのレースの為にやってきた。
自信を持って、いまできる最高の泳ぎをするだけ!決勝の雰囲気をメンバーとともに目一杯楽しもう。


世界新記録で世界の頂へ…

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スタートのホイッスルが鳴り
スタート台へ登る。


いつも通りのルーティンでセットする…
〝Take your marks〟… 〝ピッ!!!〟


号砲と同時にスタート。
もう何も覚えていません。


とにかくいまできる最高の泳ぎを。
焦らず力まず、それでいて全力で。をボヤッと意識しながら泳ぐ。


周りは当然見えていないので、タッチ板へタッチしたあとに電光掲示板をみる。
何度も見返し、そこには信じられない記録が表示されていた。


23.67


昨年、世界選手権では24.19
予選では24.16
そして決勝で 23.67


いまでも、どうやってそんなタイムで泳いだのかわからないし、信じられない状態です笑

俗に言う〝ゾーン〟とは個人的には少し違うような気もしますが、僕は〝覚醒〟と呼んでいます。
最高の状態で、プレッシャーがかかる大舞台で、集中し切れた時だけ訪れる〝覚醒〟
ここ一番で覚醒できたことはあとの3人に勢いづけられたと思う。


2泳の俊も、3泳の幡野も、トップで引き継いで
4泳の秀。
並んでいたら勝てる。
頭一個分リードしていた差を守り抜き一位でゴール!!

記録は1.36.62 世界記録は1.37.06
世界新記録樹立!!!!


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いままで日本におけるライフセービングの歴史で、プール競技での世界新記録は夢のまた夢とされていた。
それを障害物リレーで達成することができたのは本当に嬉しかった。




今まで大舞台では力を発揮出来なかったと聞いていたが、昨年の世界選手権で覚醒し自信を持てたと思う。
今回、その自信が本物でありより力を発揮できるメンタルを手に入れた。ベストタイムで幡野へ引継ぐ。



幡野
出身高校こそ違えど、公立高校で水泳部の顧問が同じという奇跡的な境遇。
初めてプール競技での日本代表選出。世界新記録を狙うリレーメンバーに選ばれプレッシャーは計り知れないものがあったと思う。
一度は抜かれたものの、最後に巻き返し一位で秀へ引継ぐ。




チームのエース。
直前の200m障害物スイムの決勝を泳いだ直後のリレーであったにもかかわらず、0.03秒のBestタイムで泳いでくれた。
アンカーというプレッシャーも相当なものであったと思う。




世界選手権ではリレーメンバーとして銀メダルを獲得したメンバーでありました。
今回、世界新記録を出す為にスプリンターの幡野がメンバー入り。
悔しい気持ちは一番あったと思う。それでもチームの応援やサポートを全力でしてくれたことは4人の力に。というより、〝4人のリレー〟ではなく〝5人のリレー〟で挑んだ決勝レース。



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初日は最高の形でスタートを切ることができ、2日目に…




7/22 Day2

個人では50mマネキンキャリー
泳ぎも良く、好記録を出せる自信はありました。しかし、マネキンを掴み床を蹴ったその足が滑ってしまい2回床を蹴る形で浮上。
勢いも失われ、後半スピードが伸びずにタイムは散々。


2日目のリレーではメドレーリレーで優勝を。
今回の調子から世界新記録も狙えるのでは?と2日続けての世界新記録で優勝を狙う。

メドレーリレーの1泳者は50m自由形を泳ぐ。
予選は大きく25mを過ぎたあたりからテンポを落として泳ぎましたが23.61とまずまずの記録。決勝では22秒台は出せるという感覚はありました。


2日目のタイムスケジュールは
午前中〜ライフセービング予選
夕方〜ライフセービング決勝
夜〜フィンスイミング タイム決勝

と1日目とは変わりこれはこれでタイトなスケジュールでした。


迎えたメドレーリレー決勝。
昨日に続き良い状態でした。スタートも決まり浮き上がって泳ぎだしたものの40m付近で身体が動かなくなってきました。


23.48
競泳のベストからも0.15遅い記録。
レース後に思い返してみると、泳ぎに力みがあったように思います。それがラスト10mで体力的にエンプティになってしまったことで失速してしまった。


さて、2泳者の幡野へ引継ぎ、15秒台の好記録で3泳者 秀へ。
一位との差は少しあったものの、二位以下は団子状態。
これはメダルは行ける!!

そう思っていたところアクシデントが…
ギリギリのところで戦っていれば攻めるしかない。
守りのレースでは絶対に得られないものを得る為には攻めるしかない。


初日とは対照的なレースでしたが、
全てハマった障害物リレー。ワンミスでもしていたら世界新記録も優勝も出来ませんでした。

そう考えれば攻めた結果の失敗は悪いとは思わない!それは全員が承知でのことだから。
だから、メドレーリレー決勝は残念な結果だったけれども価値のある負けだった。



最終種目のメドレーリレーを終え、
40分後に50mビーフィン。

ダウンをして、水着を着替えたら招集が始まってました。
ギリギリで招集漏れを逃れて一安心も、すぐに集中しなおしてレースへ。



僕のワールドゲームズ最終種目。
この二日間で既に7種目を泳いで、
8種目めのラストレース。


8番エントリー。
つまり1番遅い選手。1つでも順位を上げれるように!

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19.94 6位タイ
ベストには0.37及びませんでしたが、なんとか19秒台に乗せることができました。

順位も2つ上げることができ、世界で6位になったことはフィンスイミングでの大きな収穫となった。


記録の面では全く納得出来るものではありませんが、
ライフセービングとフィンスイミング。タイトなスケジュールで挑戦することに大きな意味があると考えています。

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今の僕では、同会場 同日程でのタイトなスケジュールでは全てで結果を出すことは出来ないとわかっていた中で、種目を絞ってワールドゲームズに挑むことが最善であると判断し、今回世界に挑戦しました。



ライフセービングでは世界新記録を含む、8つの日本新記録
男女ともに個人種目での決勝レース進出。
秀と結里花は本当に凄い選手です!


女子もナミが個人で日本新記録、リレーでもチーム年長者の裕紀子、代表経験豊富な栗真の2人も奮闘し日本新記録を更新。
初海外、初海外遠征で不安だらけの侑花は本当に頑張りました。

青は藍より出でて藍より青し

監督の想いがつまったスローガン。
弟子が師匠を超える例え。


今までの歴史を築いてきた先輩方を超え、新たな歴史を作るべく選ばれた代表メンバー。
監督の想いを少しでも結果に繋げることが出来たのかな?と思います!

そして、いままでビーチ競技でしか世界の頂に到達することが出来なかった日本。
今回、プール競技で世界の頂に到達したことで
世界は日本の強さを少しでも認めてくれたのではないかと淡い期待をしています。


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フィンスイミングでは僕と琴音の2人が出場。
僕はライフセービングでキャプテンを任命されていたこともあり、ライフセービングチームで行動してた中、
琴音は1人で行動しなければならない場面もあり凄く不安な中で迎えたレースではベストには及ばなかったものの立派な泳ぎでした!

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オリンピックと同じ、四年に一度の祭典であるワールドゲームズに出場するにあたり、
たくさんの方々に応援・支援していただき本当にありがとうございました。


ライフセービング協会、フィンスイミング連盟には2つの競技で出場することを認めてくださったことに感謝いたします。
日本特有の〝前例がない〟という理由から断念せざるを得ないことが多々ある中で、このような判断をしてくださったことは必ず両競技の発展に繋がると思います。


僕自身も両競技の普及・発展に貢献出来るよう
今後も邁進して参りますので、今後ともよろしくお願いいたします!

ライフセービング 〝4×50m 障害物リレー 決勝〟 世界新記録で優勝したレース動画(3レーン 上から3番目 白キャップ)


The World Games 2017 Lifesaving 4×50m Obstacle Relay FINAL




まとまりもなく、想いをツラツラと書いた結果長くなってしまいましたが、最後まで読んで下さりありがとうございましたm(_ _)m


最後に…
人生を賭けたレースで最高の結果を出すことができたのは、支えてくれた皆様のおかげです。
一人一人に感謝をしたいところですが、この場を借りて感謝申し上げます。


ここから、また新たな人生を歩むこととなるかと思いますが、今後とも 平野 修也をよろしくお願いいたします。